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歯の健康や治療についての当院院長のコラムを掲載いたします

要介護者の口腔ケア問題

最近、要介護者の口腔ケアの重要性が認識され始めていますが、口腔ケアには歯科の専門知識が必要になります。
 ところが、歯科医師や歯科衛生士の中で積極的に口腔ケアを行っている者は少なく、介護サービス事業者やケアマネージャーや地域包括支援センターと歯科の連携も進んでおらず、口腔ケアが必要な要介護者は多数いるのに、サービスを受ける方は少ないのが現状です。
 歯科医院側としては、口腔ケアに積極的に取り組めない理由があります。口腔ケアが必要な要介護者の情報が歯科医院に入るシステムがなく、状況が医院に伝わらないので、行動を始めにくくなっています。当院においても、口腔ケアの問い合わせや要望は全くありません。また、以前より訪問歯科診療を行っている歯科医療機関では、口腔ケアを行うのは難しくありませんが、そうでない外来のみの歯科医院が、在宅での口腔ケアを行うには、スタッフの充実や診療時間の変更などが必要になり、簡単ではありません。
 現在、口腔ケアは在宅で行うものとして議論されていますが、通常の歯科医院での対応は困難です。自院のスタッフによる送迎か、送迎を行っているサービス事業者との連携により院内で行う口腔ケアのほうが現実的ですが、これも簡単にはいかないと思われます。

月刊 嘉麻の里 10|VOL.269|OCT 2007 掲載