今回は前回に引続き乳歯の治療について説明します。

協力的な小児については進行止めの薬などを使わずに通常の治療を行います。
定期的に来院されていれば初期虫歯の治療ですみますので、虫歯を麻酔なしで削ってコンポジットレジンで修復します。歯と同じ白い素材なので審美的です。
初期虫歯ならフッ素での再石灰化可能な場合もあり、うまくいけば削らずにすみます。

定期健診を行わずに、自覚症状が出たり穴があいてから来院されると、簡単な処置ではすまず、麻酔も場合により必要になります。
前歯は神経まで近いので神経をとる治療になる事が多くなります。神経をとると歯根が正常に吸収しなくなるので、変な所から永久歯が萌出（ほうしゅつ）する原因となってしまいます。
奥歯では歯と歯の間の見えない所に大きな虫歯がある事が多く、麻酔をした上でなんとか神経を残して小さな銀のつめ物の型どりになる事がよくあります。

最悪のケースは、保存不可能で抜歯しなければならないものです。特に奥歯が抜歯になり、永久歯が出てくるまでにかなり期間があく場合にはスペースを保つ処置を行わないと歯の移動がおこり咬み合わせや歯ならびが悪くなります。この処置は咬合誘導と呼ばれ基本的に保険は適用されませんが、小児歯科では最も重要な治療のひとつです。

月刊　嘉麻の里　7｜VOL302　掲載